【9月3日 CNS】中国人民銀行(People's Bank of China、中国の中央銀行)は8月30日、2019年版第5世代人民元の紙幣と硬貨を発行した。紙幣は50元(約740円)、20元(約300円)、10元(約150円)、1元(約15円)の4種類、硬貨は1元、5角(約7.4円)、1角(約1.5円)の3種類。

■なぜスマートホン支払いが普及する中で新版人民元を発行したのか?

 中国人民銀行貨幣金銀局の李会鋒(Li Huifeng)副局長の説明によると、これらの貨幣を発行してすでに14年が経つ。この間、現金の流通状況には巨大な変化が起こった。現金自動預払機(ATM)が急激に普及する一方、偽金の形式が多様化し、偽造防止技術の変化は加速した。これらによって、人民元の設計水準や偽造防止技術、印刷品質は一層高いものが求められるようになったという。

 キャッシュレス社会が急速に発展し、現金使用量は一定量減少しているとはいえ、長い歴史のある使い慣れた現金は、辺境地帯や特殊な階層の人の需要などもあり、今後も相当長い期間、重要な支払いのツールとして使われていくと考えられている。

■なぜ5元と100元はないのか?

 人民銀行の説明によると、この数年来、貨幣の新しい印刷技術の開発に力を入れてきており、人民元の偽造防止能力と流通能力を向上するため、金額が比較的小さく流通量の少ない5元(約74円)紙幣については新技術の応用研究を行っているところで、新版の発行は別途検討するとしている。

 また、2015年11月に発行した新版の100元(約1500円)紙幣については、その偽造防止能力と印刷の品質はすでに大きく向上している。現在、2015年版の100元の量産偽造紙幣は見つかっていないため、2019年版には100元紙幣を考慮しなかったとしている。(c)CNS/JCM/AFPBB News