【9月2日 AFP】(更新、写真追加)香港では2日朝、民主派のデモ隊が地下鉄の運行を複数の駅で妨害し、新学期を迎えた中学生や高校生らは学校前で「人間の鎖」をつくって抗議した。また大学生らも、初日の授業をボイコットした。

 通勤時間帯の地下鉄駅では、黒い服を着た民主派のデモ隊が停車中の列車のドアが閉まらないよう立ちはだかり、運行に大幅な遅延が生じた。

 一方、市内の複数の公立中等学校では、ガスマスクやヘルメット、ゴーグルを装着した生徒らが「人間の鎖」をつくった。市内中心部では、懲罰覚悟でデモに参加する高校生らの姿も数十人見られた。

 大学も2日が新学期の始業日だが、学生数千人が授業をボイコットし、香港中心部に集結した。

 中国本土への容疑者引き渡しを可能とする「逃亡犯条例」改正案への反対運動をきっかけに3か月間に及んでいる抗議デモは、この週末、過去最悪レベルの暴力沙汰に発展。8月31日には中心部で一部の過激なデモ隊と警官隊が激しく衝突した一方、地下鉄の車両内で警官隊がすくみ上がる人々を暴行する様子を映した地元メディアの動画が出回り、批判を呼んでいる。

 9月1日には、世界有数の利用者数を誇る香港空港に通じる道路をデモ隊が封鎖し、少なくとも数十便が欠航した。ただ、デモ参加者がターミナルに集結するのは警察によって阻止された。

 香港政府を支持する中国当局は、香港企業への圧力や本土境界付近での治安部隊の演習といった脅迫まがいの戦術を強化している。国営新華社(Xinhua)通信は1日夜、抗議行動の「終わりが近づいている」と警告する論説を掲載したが、具体的な説明は避けた。

 香港では観光客が激減し、ホテルや小売りなど商業的にも大きな損害が出ているが、政府はデモ収束へ向けた譲歩や提案などをほとんど示していない。(c)AFP/Yan ZHAO, Aidan JONES