【9月2日 AFP】2018年の全米オープンテニス(US Open Tennis Championships 2018)、女子シングルス決勝で、セレーナ・ウィリアムス(Serena Williams、米国)に手振りで指示を送ったことが波紋を呼んだパトリック・ムラトグルー(Patrick Mouratoglou)コーチが、「あしたも同じことをする」と自身のやり方を変えるつもりがないことを明かした。

 大坂なおみ(Naomi Osaka)とセレーナによる昨年の全米決勝では、プレーヤーズ・ボックスからムラトグルー氏が手振りで指示を送ると、それを見とがめたカルロス・ラモス(Carlos Ramos)主審がセレーナにコーチングの警告を与えた。するとそれをきっかけにセレーナと主審との間で激しい言い争いが起こり、主審を「うそつき」や「盗人」と呼んだセレーナは最終的に1ゲーム没収のペナルティーを科されて敗戦。会場は騒然となった。

 それでもムラトグルー氏は1日、「後悔しているかって? ノーだ。あの瞬間は彼女が困っている様子だったから、なんとか助けようとした。みんなと同じようにね」と話した。

「あしたも同じことをするだろう。間違いなく本気だ。そしてまたペナルティーを食らうなら、同じように不公平と感じるだけだ。私がペナルティーを受けるなら、全員が毎日受けるべきだ。しかし誰もそうはなっていない。誰一人だ」

 現在、コート上の選手に対するコーチングが許可されているのは女子ツアーの大会のみで、男子ツアーと四大大会(グランドスラム)では認められていない。しかしムラトグルー氏は、選手は皆コーチングを受けているし、それを否定するのはごまかしだと強調する。

「後悔などまったくしていない。一切だ。私からすれば、何も悪いことはしていない。どのコーチもやっていることをしたまでだ」「前にも言った通り、私は普段、コーチングは行わない。だからこそ極めてアンフェアなんだ。彼は私が常習犯でないと知りながら、1回やっただけでペナルティーを与えた」「1回で警告を与える審判など見たことがない。普通は気をつけてと言うだけだ。4回か5回やって、初めて注意されるのが通常だ。私が極端に不公平だったと思うのはその部分だ」

 ムラトグルー氏が指摘するのは、ラケットを壊すとすぐに警告が出る一方で、コーチングの場合はそうではないという、規則の適用に一貫性がない点だ。

「ラケットを壊せば必ず警告を受ける。それがルールとして現実に運用されている。常識になっているから誰も文句は言わない」「私にとってみれば、限りなく愚かなルールだ。そんなことで罰則を科すべきじゃない。テニスとはそういうものだ。別にラケットを壊したっていいじゃないか」

「ところが(コーチングになると)ほとんど誰もペナルティーを食らわない。そんなのはフェアじゃない。だから後悔しているかと聞かれれば、私はノーと答える。必要ならまたあしたやるか? 答えはイエスだ」 (c)AFP/Martyn WOOD