【9月1日 AFP】31日に行われた全米オープンテニス(US Open Tennis Championships 2019)の女子シングルス3回戦では、勝利した大坂なおみ(Naomi Osaka)と、初めて全米オープンのセンターコートで戦ったコリ・ガウフ(Cori Gauff、米国)が、どちらも涙とともにコートを後にするという、大会史に残る胸を打つ場面が見られた。

 アーサー・アッシュ・スタジアム(Arthur Ashe Stadium)で行われた一戦は、8ゲーム連取で締めくくった前回女王の大坂が6-3、6-0で圧倒し、ガウフは涙の完敗に終わったが、記憶に残る出来事は試合後に起こった。

 大坂はコートに残って一緒にインタビューを受けるようガウフに提案。「人前で泣くようなタイプじゃないからコートを出たかった」「それに彼女のための時間を台無しにしたくなかった」というガウフは、「『シャワーを浴びながら泣くより良い』からって、何度も残るよう言われた」中で、「断り続けたけど、どうすべきか分からなかったから、『OK、そうする』」と答えたという。

 そして、ガウフが涙をぬぐいつつ胸の内を明かすと、つらい敗戦の直後で支えを必要としているまだ15歳の新星に示した大坂のスポーツマンシップに観客は沸いた。

 ガウフは、自身も涙ぐんだ大坂について「試合後の彼女は、真のアスリートだということを証明したと思う」「私にとってアスリートとは、コート上では相手を最大の敵として、だけどコートの外では最高の親友として扱える人。今夜の彼女は、まさにそういう人だったと思う」と話している。

「彼女は本物のスポーツマンシップを示した。あれは予想していなかった」

 最初は早くコートを離れたがったガウフだが、涙を流しながらも残って話をしたことに後悔はないという。

「ああいう瞬間を経験できたことをうれしく思う」「観客が私と彼女を助けてくれたのがうれしい。彼女は泣いていた。勝ったのに。私も泣いていた。みんな泣いていた。彼女が泣いている理由が分からなくて、私は『あなたは勝ったのに』っていう感じだった」「みんな泣いていた。だけど、二人のどちらにとっても良い時間だったと思う」 (c)AFP/Jim SLATER