【8月31日 AFP】南米のアマゾン(Amazon)熱帯雨林で森林火災が拡大している問題で、ブラジル政府は29日に野焼き禁止令を施行したが、同日に新たに1500件近くの火災がアマゾンで発生していたことが分かった。一方、ジャイル・ボルソナロ(Jair Bolsonaro)大統領は30日、欧州が環境保全についてブラジルに「教えることは何もない」と述べた。

 ボルソナロ氏のこの発言は、近年最悪のアマゾンの火災をめぐるブラジルと欧州との対立を激化させかねない。外国からは消火活動の支援が提示されている。

 極右のボルソナロ氏は記者団に対し、ドイツのアンゲラ・メルケル(Angela Merkel)首相と会談すると述べたが、日程は明らかにしなかった。またフランスのエマニュエル・マクロン(Emmanuel Macron)大統領については、「親愛なるマクロン氏」がブラジルのアマゾンの主権に関する発言を撤回すれば、対話をすると繰り返した。

 ボルソナロ氏は「欧州が環境保全についてわれわれに教えることは何もない」と述べ、アマゾンの「持続可能な開発」についての自らの計画を改めて主張した。

 火災への対応強化を求める圧力が高まるなか、ボルソナロ氏は29日、60日間の野焼きを全土で禁じる大統領令を施行した。

 アマゾン地域では今年、違法活動の監視機関が弱体化されたことを背景に森林伐採が急増しており、人里離れた地域で禁止令を施行できるのかを疑問視する声が環境活動家らから上がっている。

 ブラジル国立宇宙研究所(INPE)の最新のデータによると、禁止令の施行当日に2300件の火災が新たに確認され、そのうちの1500件近くがアマゾン盆地で発生。今年ブラジルで発生した森林火災は8万7257件に達した。(c)AFP/Jordi Miro, with Allison Jackson in Rio de Janeiro