【8月29日 AFP】南米のアマゾン(Amazon)熱帯雨林で森林火災が続いている問題で、ブラジルのジャイル・ボルソナロ(Jair Bolsonaro)大統領は28日、フランスとドイツが消火支援金の提供によりブラジルの主権を「買収」しようとしていると批判し、フランスのエマニュエル・マクロン(Emmanuel Macron)大統領に対し最近の発言を撤回するよう改めて要求した。

 ブラジルと欧州の間では外交上の対立が激化を続けており、南米・欧州間の主要貿易協定が頓挫する恐れも出ている。また今回のボルソナロ氏の発言を受け、世界最大の熱帯雨林であるアマゾンでの消火活動支援金として先進7か国(G7)が申し出た2000万ドル(約21億円)を、ブラジルが今も受け入れる意向があるかどうかをめぐる疑念が生じている。

 極右のボルソナロ氏は27日朝、マクロン氏が「侮辱」を撤回した場合に限り、G7の支援の協議に応じる姿勢を表明していた。ところが同氏の報道官は同日夜、報道陣に対し、資金がブラジルの管理下に置かれることを条件に海外からの支援を受け入れると説明。ボルソナロ氏が姿勢を一転させ、マクロン氏に対する要求を撤回したようにみられていた。

 ボルソナロ氏は28日、チリのセバスティアン・ピニェラ(Sebastian Pinera)大統領と、拡大を続けるアマゾンの危機について協議。その後記者団に対し、「(マクロン氏が)発言を撤回することで初めて、われわれは再び協議ができる」と表明した。

 ボルソナロ氏はまた、「ドイツ、そして特にフランスは、われわれの主権を買収しようとしている」と主張。「2000万ドルがわれわれの値段のようだ。ブラジルに値段はない。2000万だろうが20兆だろうが同じことだ」と語った。

 同氏は、ブラジルが森林火災と闘うための2国間援助であれば受け入れると表明。同国がG7からの支援金を受け入れるかについての疑念が高まっている。(c)AFP/Jordi Miro, with Allison Jackson in Rio de Janeiro