【8月30日 AFP】インドネシア東部ニューギニア(New Guinea)島のパプア(Papua)州で29日、独立要求と人種差別への抗議を掲げた地元住民らのデモが暴徒化し、議会庁舎に放火する事態となった。

 密林に覆われたニューギニア島は、西半分がインドネシア領、東半分がパプアニューギニア独立国となっている。インドネシア領に暮らすパプア人は島の先住民メラネシア人で、インドネシアとの間に文化的な共通点はほとんどない。

 インドネシア領のパプア州や西パプア(West Papua)州ではここ2週間ほど、デモ隊と警官隊との衝突が相次いでいる。

 パプア州の州都ジャヤプラ(Jayapura)では29日、約1000人が禁じられた西パプア独立運動旗を手に、インドネシアからの分離独立やメラネシア人に対する差別への抗議を訴えて市内を行進。デモ参加者が商店や議会に投石・放火する暴動に発展した。

 前日には、パプア州西部のデイヤイ(Deiyai)県で、デモ隊とインドネシア治安部隊が衝突し、当局によると少なくとも治安要員1人とデモ参加者2人が死亡した。

 数十年にわたり分離独立派の闘争が続くパプアでは、インドネシア軍が地元住民の人権を侵害していると非難されてきた。こうした中、治安部隊の発砲でデモ参加者6人が死亡したとの報道が引き金となって、8月中旬からデモ隊と警官隊らとの衝突が頻発する事態となっている。当局側は、発端の報道内容を否定し、なたや伝統的な弓矢で武装した住民ら数百人に襲撃されたと主張している。

 インドネシア政府は先週、正確な情報の共有が困難だとして、パプア州と西パプア州でインターネットを遮断するよう命じた。

 ニューギニア島西部のパプアは鉱物資源が豊富で、世界最大の金鉱山がある。元オランダ植民地で、1960年代にパプア人の民族自決権に基づく住民投票の結果インドネシアに併合されたが、これは正当な手続きによるものではなかったとする見方が強い。インドネシア政府はパプアのインフラ開発に力を入れているものの、地元住民らは二級市民扱いされ、豊かな資源の恩恵を受けていないと不満を募らせている。(c)AFP