【9月11日 東方新報】中国の三江源国家公園内にあり、国連教育科学文化機関(UNESCO、ユネスコ)の世界遺産(World Heritage)にも登録されているココシリ(Hoh Xil)で8月19日、青海省(Qinghai)林業草原局宣伝部製作のテレビドラマ「聖地ココシリ」がクランクインした。国家公園内でのドラマ撮影は初めてで、チベットカモシカ保護に尽力した人々の物語を描く。

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 青海省西部の雪山と氷河に囲まれ、江川湖泊が縦横に横切る平均標高4500メートルの湿地高原・ココシリは、チベット語で「崑崙(Kunlun)雪山の地」「千湖の地」を意味し、中国の水源であると同時に、チベットカモシカ、ヤク、チベットノロバなど希少動物の生息地でもある。世界でもまれにみる原始の生態環境を完璧に残した地域として、2017年には世界遺産に登録されている。

 1985年から90年代にかけて、チベットカモシカが密猟のため1万頭にまで激減した問題が国際社会でも注目された。密猟者を命がけで追う民間パトロール隊の闘いを描いた映画『ココシリ(Mountain Patrol: Kekexili)』は中華圏映画に与えられる最も栄誉ある映画賞・金馬賞(Golden Horse Film Awards)の2004年度最優秀作品賞を受賞した。

 1998年にココシリ自然保護区が設立されて以降、絶滅の危機にあったチベットカモシカの生息数は7万頭以上に回復。2016年に、中国で導入された国家公園システムのテストケースとして三江源国家公園が指定され、ココシリ自然保護区もそこに含まれている。

 「聖地ココシリ」は、漢族、チベット人が協力して密猟に抵抗した歴史を背景として、幾つかの部落の数世代にわたるチベットカモシカ保護に尽力した人々の物語を描く。映画『ココシリ』のドラマバージョンともいえるが、善悪で割り切れない密猟の実体と、人間に容赦ない過酷な自然の描写が印象的であった映画とは裏腹に、ドラマは自然との調和、共生の理念という次世代へのメッセージを込めているという。

 青海省林業草原局の李暁南(Li Xiaonan)局長は「自分の目を守るように生態環境を守り、命に対するように生態環境に守るという精神を発揚するために、このドラマを作りました。見れば必ず、深く感じるものがあると思う」と語っている。(c)東方新報/AFPBB News