■もう一つの理由は「中心窩」

 二つ目の理由は、色素欠乏症では視力に問題があることが多く、チロシナーゼ遺伝子が網膜の発達にどのような影響を及ぼすかを調べるモデルとして、人さし指ほどの大きさのアノールトカゲを研究者らが利用できることだ。

「人や他の霊長類の目には中心窩(ちゅうしんか)と呼ばれる特徴がある。網膜にあるくぼみのような構造の中心窩は、高度に鋭敏な視力にとって極めて重要な役割を果たす。主要モデル系にはこの中心窩がないが、アノールトカゲにはある。実際にアノールトカゲは、昆虫を捕食するために鋭敏な視力に依存している」とメンケ氏は述べる。

 研究チームによると、この技術は鳥類にも適用できる可能性があるという。鳥類を対象とする遺伝子編集は過去にも実施されたが、そこではより複雑なプロセスが用いられた。

CRISPR-Cas9(クリスパー・キャスナイン)」の正式名称でも知られるクリスパーは10年以上前に登場して以来、マウスの遺伝性難聴の重症度の軽減から、賛否両論を呼んだエイズウイルス(HIV)に耐性を持つ新生児の誕生まで、革新的な変化の可能性を秘めた応用が数多く行われてきた。

 今回の研究についてメンケ氏は、クリスパーを適用できる動物の範囲を広げることは不可欠だと主張する。「遺伝子編集を実行するための方法が確立できれば、それぞれの動物種から学べることがあるのは疑いのないことだろう」 (c)AFP