■社会的スキル

 だが、状況は変わりつつあり、引退年齢も徐々に上がっているという。

 元プロ選手の「Aui_2000」ことカーティス・リン(Kurtis Ling)さん(26)は、eスポーツ界で高所得者が増えていることがきっかけとなり、より長くプレーを続ける選手が多くなっていると指摘する。優秀な選手は億万長者なのだ。

 eスポーツ専門サイト「esportsearnings.com」によると、リンさんも現役時代、200万ドル(約2億2000円)近くを稼いだとされる。しかし、けがが原因で引退し、その後はニュービーのコーチとして活動を続けている。引退についてリンさんは、「スポーツ選手は40代半ばまでプレーしている。eスポーツでそれができない理由はない」と話した。

 eスポーツ界が成熟し、その市場規模が大きくなるにつれ、引退した選手はeスポーツ関連のビジネスやマネジメント、メディアに携わる機会が増えてくるだろう──。そう話すのは、プロゲームチーム「ビルトゥス・プロ(Virtus.pro)」のジェネラルマネジャー、ロマン・ドゥボリャンキン(Roman Dvoryankin)氏だ。

 eスポーツの選手をめぐっては、引退後の活動で必要となる社会的スキルに乏しいとの見方がある。しかし、ドゥボリャンキン氏はこの批判を一蹴する。

「他人とのコミュニケーションに問題はない」

「(eスポーツの選手は)コンピューターの前に座っているだけと考えられがちだが、実際にはたくさん会話している。ただそれがネット上のチャットであるというだけだ」 (c)AFP/Peter STEBBINGS