【8月26日 AFP】女性へのセクシュアルハラスメント(性的嫌がらせ)疑惑の渦中にあるオペラ歌手、プラシド・ドミンゴ(Placido Domingo、78)が25日、オーストリアで開催中のザルツブルク音楽祭(Salzburg Festival)に出演し、観客のスタンディングオベーションに包まれた。

 疑惑が発覚してから初の舞台は、ジュゼッペ・ベルディ(Giuseppe Verdi)作曲のオペラ「ルイザ・ミラー(Luisa Miller)」。地元紙クライネ・ツァイトゥング(Kleine Zeitung)はセクハラ告発運動「#MeToo(私も)」を引用し、「ザルツブルクで勝利、MeToo騒動をものともせずドミンゴに大喝采」との見出しで公演の様子を報じた。

 スペイン・マドリード出身で既婚者のドミンゴは20世紀を代表するテノール歌手で、ルチアーノ・パバロッティ(Luciano Pavarotti)、ホセ・カレーラス(Jose Carreras)とともに「三大テノール(Three Tenors)」として名をはせた。近年はバリトンへ転向し、第一線で活躍を続けている。

 しかし、AP通信(Associated Press)は今月、歌手8人とダンサー1人がドミンゴからセクハラを受けたと告発する記事を報道。セクハラは1980年代から続いており、身元を明かした1人は、ドミンゴがオペラ界屈指の歌手の立場を利用して性的な関係を迫ってきたと訴えていた。

 報道を受け、米ロサンゼルス歌劇場(LA Opera)は疑惑の調査に乗り出している。また、米フィラデルフィア管弦楽団(The Philadelphia Orchestra Association)は、9月18日に予定されていた2019~20シーズン開幕公演のドミンゴへの出演依頼を取り下げた。(c)AFP