【8月25日 AFP】米ニュージャージー州のオーシャンシティー(Ocean City)では何年もの間、風光明媚(めいび)な遊歩道を楽しむ観光客らが、食べ物を虎視眈々(たんたん)と狙う招かれざる客、カモメ略奪団に対処せざるを得ない事態が続いてきた。

 過去36年間、この海辺のリゾートで休暇を過ごしているヒラリー・ラーキン(Hilary Larkin)さんは、食べ物を守らなければならないというのは気持ちの良いことではないが、ついばもうとするカモメがいるからには、そうせざるを得ないと語った。

 だがそんな心配はもう無用だ。腹を空かせた厄介なカモメを追い払う新たな試みの一環として、今月から猛禽(もうきん)類部隊が昼夜パトロールに当たっている。彼らがカモメを殺すのはたやすいが、そうしないよう訓練されている。

 猛禽類部隊はハヤブサ、モモアカノスリ、ワシミミズクで構成され、6羽それぞれにオジー(Ozzy)、セージ(Sage)、ハンク(Hank)、ガブリエラ(Gabriela)、オーシー(OC)、ブラックベリー(Blackberry)という名前が付いている。

 ニューヨークの南約200キロに位置するオーシャンシティーでは毎年夏になると、15万人の観光客がを訪れ、海岸で過ごしたり、大西洋の景色を眺めたり、無数に立ち並ぶ売店で軽食やアイスクリームを楽しんだりして休暇を過ごす。

 しかし、こうした無防備な観光客を数千羽にも上るカモメがたびたび追い掛け回し、急降下してはフライドポテトやファネルケーキをひったくり、時には子どもを泣かすことさえあった。

 業を煮やした市当局は、鳥の侵入から空港や農地、ごみ埋め立て地を守ることを得意とする鷹匠(たかじょう)集団「イーストコースト・ファルコンズ(East Coast Falcons)」にカモメ対策を委嘱した。

 3週間という短期間でカモメの大半は状況を察し、本来の生息地に戻りカニや貝を食べるようになった。

 ジェイ・ジリアン(Jay Gillian)市長は今月、自身のウェブサイトへの投稿の中で、今回の対策は1日当たり2100ドル(約22万円)かかるが、功を奏しているようなので来年の夏にも実施する可能性があると述べた。
 
 投入された猛禽類部隊そのものも、新たな観光の目玉となった。(c)AFP/Don EMMERT