【8月23日 AFP】陸上男子短距離のスター選手であるクリスチャン・コールマン(Christian Coleman、米国)が、ドーピング検査を3度受けなかったとして出場停止処分を科される可能性があると、複数のメディアが22日に報じた。

【図解】陸上男子100メートルの世界記録の推移

 今年の男子100メートルで最速タイムを記録し、来月の第17回世界陸上ドーハ大会(17th IAAF World Championships in Athletics Doha)で優勝候補に挙げられている23歳のコールマンは、ここ12か月間で3度にわたり薬物検査を受け損ねた。

 英大衆紙デーリー・メール(Daily Mail)や英紙タイムズ(The Times)によると、18日に英バーミンガム(Birmingham)で行われたダイヤモンドリーグ(IAAF Diamond League 2019)第11戦を大会直前に棄権したコールマンは、「居場所情報」の申告義務を怠った疑惑があり、現在異議を申し立てているという。

 反ドーピングの国際ルールでは、選手は競技外の抜き打ち検査を円滑に進めるために、事前に検査官に正確な居場所情報を申告する必要がある。そして、薬物検査を3度受けられなかった選手は、薬物違反と同等であるとみなされ、自動的に出場停止処分を科されることになっている。

 コールマンに何らかの処分が確定すれば、ロシアのドーピングスキャンダルからの前進を目指している陸上界は、またしても大きな打撃を受けることになる。

 2017年に引退したジャマイカのスター選手ウサイン・ボルト(Usain Bolt)氏の後継者筆頭として頭角を現していたコールマンは、第16回世界陸上ロンドン大会(16th IAAF World Championships in Athletics London)の100メートルで、母国の先輩であるジャスティン・ガトリン(Justin Gatlin)に次ぐ銀メダルを獲得。同種目での自己ベストは9秒79で、6月に米カリフォルニア州で臨んだレースでは、今季世界最高の9秒81をたたき出していた。

 コールマンが検査を受けなかった詳しい状況は明らかになっておらず、同選手の代理人を務めるエマニュエル・ハドソン(Emanuel Hudson)氏はコメントの要請に応じなかった。また、米国反ドーピング機関(USADA)も、この件に関してこれまでのところ言及していない。

 検査を受けなかった具体的な日が確定すれば、コールマンは来月の世界選手権と2020年東京五輪に出場できなくなるとみられる。(c)AFP