■社会階層のエレベーター

 経済協力開発機構(OECD)が2015年に実施した、教育を通じた社会の発展に関する調査で、フランスは36か国中最下位だった。

 エコール42でスクリーンをのぞき込む顔を見ると、さまざまな学生が集まっていることが分かる。エコール42のソフィー・ビジェ(Sophie Viger)校長は「見ればわかるように、デジタル分野は社会階層のエレベーターの役割を果たしている。非常に異なる層の人々が集まっている」と述べた。

 さらにエコール42は、国から認定されていないものの高い評価を得ており、政治家の支持も集めている。

 エマニュエル・マクロン(Emmanuel Macron)仏大統領は、経済相だった2015年に同校を視察した後、「この国の教育制度に革新をもたらした。これこそわれわれが必要なものだ。素晴らしい」とフェイスブック(Facebook)に書いた。

 だが、称賛の声が上がる一方、物議も醸している。

 パリ校をめぐっては2017年、性的嫌がらせや女性蔑視が雑誌で複数回報じられ、複数の学生が罰せられた。また、フランスのデジタルプライバシー監視団体は昨年、「カメラによる過剰な監視」が行われていると非難した。

 ビジェ校長は、手本となるような女性エンジニアを前面に出して女性にアピールしている他、監視カメラの大部分は命令に従い撤去したと説明している。(c)AFP/Clare BYRNE