【8月20日 AFP】未成年の少女らを性的目的で人身取引したとして起訴され、勾留中に死亡した米富豪のジェフリー・エプスタイン(Jeffrey Epstein)被告が、自殺する2日前に遺言を書き、5億7800万ドル(約610億円)相当の財産を信託に移転していたと、現地紙ニューヨーク・ポスト(New York Post)が19日報じた。ただ受益者らの氏名は明らかになっていない。

 ヘッジファンド経営者として財を成し、多くの政治家や著名人らと長年交友関係を築いてきたエプスタイン被告は、性的搾取を目的とする人身取引の罪で起訴され、裁判の開始を待っていたが、10日に留置所で首をつって自殺した。

 被害者の中には14歳の少女もいたとされ、有罪が確定すれば、45年以下の禁錮刑に処される可能性があった。

 同紙によると、被告は自身が私有する島があるバージン諸島(Virgin Islands)で保管されていた遺言書などに8日に署名。財産を「1953トラスト(The 1953 Trust)」に移転した。

 同紙電子版は、被告が5650万ドル(約60億円)超の現金と3億ドル(約320億円)超の株式を保有し、1400万ドル(約15億円)以上の固定収入があると主張する遺言書の写しを掲載。

 さらに被告は、ニューヨークやフロリダ、フランスのパリなどにある6つの高級不動産や、計1800万ドル(約19億円)相当の「航空機、自動車や船舶」も所有物として申告していたという。

 ただこの遺言書には、特定の受益者らの氏名は記載されていない。これまでに複数の女性が性的虐待の賠償を求める訴訟を起こしているが、ブルームバーグ(Bloomberg)は、被告の信託行為により、被害者らによる賠償訴訟がより困難になる可能性があると報じている。(c)AFP