【8月25日 東方新報】中国パスポートが不便で、中国人の海外渡航に制約があったのは、今では昔のこと。今年に入り、中国人がビザなしやビザの簡易取得で行ける渡航先が急速に拡大している。8月の段階で、中国人がノービザ・到着ビザで訪問できる国・地域は57を超えた。これは中国が主導する地域一体化構想「一帯一路(Belt and Road)」戦略の奏功ともいえる。一帯一路参加国との間には人的交流の促進も打ち出され、直行便も増えているからだ。中国パスポートが、いわゆる「黄金パスポート」となる日も近い。

 イランは7月16日から中国パスポートホルダーに対し、イランへの観光旅行とビジネス訪問に対して21日間のノービザ入国を認めた。これに伴い、外交部領事司および、在イランの中国大使館は中国人旅行者に向け、現地の風俗習慣への尊重や、僻地の独自旅行を避けること、現地の法律順守、地震多発に留意すること、ビザ(Visa)・マスターカード(Mastercard)などクレジットカードやトラベラーズチェックが使用できないこと、旅行保険に入ることなど、注意喚起を行った。テヘランへは深セン(Shenzhen)から直行便が出ているほか、広州(Guangzhou)発でウルムチ(Urumqi)、ドバイ経由で行くことができる。

 スリランカも8月1日から中国など48か国の国民に対して、短期の観光ビジネス訪問者らに電子渡航認証(ETA)を無料で発行すると発表。この政策は6か月のテスト期間を経て、継続するかどうか決められるという。中国旅行者はこれまで300元(約4500円)を支払ってビザを取得しなくてはならなかった。ETAはネット上で取得できて30日間有効。コロンボのバンダラナイケ国際空港(Bandaranaike Internatinal Airport)の専用申請台からも申請できる。

 マレーシアでも7月15日から中国旅行客は到着ビザで入国できるようになった。15日間滞在でき、費用は200リンギット(約5083円)。出国用の航空チケットを持っていることが条件となる。 タンザニアでは、ETAシステムが8月から開通。広州─ダルエスサラーム直行便も今年下半期に開通する予定だ。タイも11月から中国人はノービザとなる。

 日本は7月30日から中国の団体旅行客に対し、ネット上での一次ビザ申請が可能となった。今のところ、ネットによる電子ビザ申請は旅行代理店を通じてのみ可能で、ビザの電子化によって代理店の業務量が減り、ビザ発行時間が大幅に短縮されるという。電子ビザは15日以内の滞在が可能。また来年4月からは観光目的の一次ビザについては、パスポートにビザ証を張り付けるのではなく、電子ビザ証に切り替わる。

 中国はすでに一帯一路沿線国45か国・地域との間に直行便を開通させており、2020年までには中国から沿線国への旅行者はのべ1.5億人をこえるという。(c)東方新報/AFPBB News