【8月18日 AFP】フィジーのボレンゲ・バイニマラマ(Voreqe Bainimarama)首相は16日、南太平洋地域の独立国・自治政府が加盟する「太平洋諸島フォーラム(PIF)」の首脳会議の閉幕を受けて、オーストラリアのスコット・モリソン(Scott Morrison)首相を「とても無礼」と非難し、より友好的な外交を持ちかけているとして中国を持ち上げた。

 ツバルで開催されたPIF首脳会議は、気候変動で存亡の危機にひんする島しょ国側と、石炭業界に好意的な豪政府が反目。15日の閉幕後、バイニマラマ首相はモリソン首相の高圧的な手法を批判した。

 バイニマラマ首相は16日夜、英紙ガーディアン(Guardian)の取材に対し、「(モリソン)首相はとても無礼で恩着せがましかった。(両国の)関係にとって良くない」と語った。

 米ニューヨークで来月開かれる国連(UN)気候行動サミットを控える中、PIFは気候変動の矢面に立つ国々の側から、行動を迫る国際的なメッセージを表明することを目指していた。

 だが、島しょ諸国の首脳たちによると、涙が流れ、怒号が飛び交う有様となった12時間にわたる協議の末、モリソン氏の強い要求で首脳会議の共同コミュニケ(合意文書)が骨抜きにされ、期待に遠く及ばない代物となった。

 モリソン首相は、再生可能エネルギーおよび気候変動からの回復力強化への投資、さらには太平洋地域で影響力を高める中国への対抗策の一環として、太平洋の島しょ諸国に5億オーストラリア・ドル(約360億円)の支援を約束。

 だが、他の首脳らは豪政府に対し、二酸化炭素の排出削減と、利益をもたらす石炭産業の抑制を要求した。

 バイニマラマ首相は、「(モリソン首相が)ある段階で、他の首脳らによって窮地に立たされたようになり、オーストラリアが太平洋諸国に与えてきた金額がどれほどのものになるかと言い出した」「とても無礼だ」と語った。

 バイニマラマ首相はさらに、オーストラリアと中国の間に、太平洋地域をめぐる「競争は存在しない」とした上で、中国政府の外交アプローチを称賛。「中国政府はこれだけの金額を太平洋諸国に与えてきたと世界に触れ回ったりしない。中国人は善良で、確実にモリソン氏より善いと言える」と主張した。(c)AFP