【8月17日 AFP】グリーンランド(Greenland)は売り物ではない──ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領が、豊富な資源を持つ北極圏のデンマーク領の同島を自国で購入可能かどうか顧問らに相談していたと報じられたことを受け、グリーンランド自治政府が16日、反論した。

 米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)は15日、関係筋の話として、トランプ氏が、陸地のほとんどが氷で覆われたグリーンランドに興味を示し、米国が同島を取得することは可能かどうか顧問らに相談したと報道。同紙によると、かつて不動産王として名をはせたトランプ氏は、グリーンランドの天然資源と地政学上の重要性に興味を示しているという。

 グリーンランドは広さ約200万平方キロの島で、先住民イヌイット(Inuit)を中心に5万7000人近くが暮らしている。

 この報道についてホワイトハウス(White House)は公式のコメントを発表しておらず、首都ワシントンにあるデンマーク大使館からもコメントは得られなかった。

 一方、グリーンランド自治政府の外相は、ビジネスに関して協議する準備は整っているが、島は売り物ではないと主張。ツイッター(Twitter)への投稿で、「#Greenland(グリーンランド)は貴重な資源を有し、純度が非常に高い水と氷、漁業資源、海産物、再生可能エネルギーなどが豊富で、アドベンチャーツーリズム(自然を生かしたアクティビティーを取り入れた観光)の先駆的な新開地でもある」と述べ、「ビジネスは受け入れるが、売り物ではない」と主張。デンマークのラース・リュケ・ラスムセン(Lars Lokke Rasmussen)前首相は、「エープリルフールのジョークに違いないが、完全に季節外れだ!」とツイートした。

 グリーンランドの地元住民らも、この報道に困惑しており、東部クルスク(Qulusuk)のホテルオーナーはAFPに対し、「ソーシャルメディアでは、この報道は完全なジョークと思われている」として、「私に言わせてもらえば、(米国によるグリーンランド買収は)あり得ない。みんな笑っている」と語った。

 トランプ氏が他国の土地に興味を示したのは今回が初めてではなく、以前にも、北朝鮮の「素晴らしいビーチ」はホテルやマンションを建てるのに理想的な場所だと発言していた。(c)AFP/Tom LITTLE