【8月13日 東方新報】米プロバスケットボール(NBA)元選手の姚明(Yao Ming、ヤオ・ミン)さんは、引退後もアジアバスケットボール連合主席、中国バスケットボール協会主席、中国プロバスケットボールリーグ(CBA)会長と、バスケットボール発展に関わる要職についているが、もう一つの顔がある。それは慈善家の顔だ。

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 8月4日、広西チワン族自治区(Guangxi Zhuang Autonomous Region)南寧市(Nanning)にある広西体育センター(Guangxi Sports Center)で、姚さんが創設した姚基金(YAO Foundation)主催の中米バスケットボール慈善試合が行われ、7000人の観衆が熱狂した。結果は中国男子スター選手チームが米国スター選手チームを102対85で下し、2007年からの12年間に行われてきた9試合の成績は中国チーム6勝、米国チーム3勝となった。

 姚さんは「慈善試合は形式にすぎない。私たちは多くの人たちに、何をしているのか、何をすべきが知ってほしい」と訴えた。

 姚さんの慈善・公益活動は、今でこそネットのSNSでファンの間にも知れ渡るようになったが、それ以前のかなり長い間も、人知れずこうした活動を続けてきた。四川省(Sichuan)広安のとある農村の小学校で14日間、ボランティアコーチを務めたこともあった。彼はバスケットボールに触れたこともないような子どもたちとコンクリートのコート上でフリースローゲームをしたり、両親が出稼ぎにいって村に一人残されている「留守児童」たちにビスケットを持っていたりもした。

 そうした地道な活動が2007年、実を結んだ。青少年発展基金会の傘下で、慈善パーティーで集められた1400万元(約2億800万円)をもとに姚基金が設立された。このうち200万元(約3000万円)は姚さん自身が寄付している。以来、バスケットボールを通じて農村の子どもたちの未来をよりよく変える目標を掲げて、さまざまな慈善・公益活動を展開してきた。

 だが姚明さんは、こうした活動で自分が目立つことを好まない。この基金会の理事長の椅子も2018年には姚さんの妻・葉莉(Ye Li)さんが受け継いだ。姚基金による「希望小学バスケットシーズン」プロジェクトは全国500か所の貧困地域の学校に広がり、92万2500人の子どもたちが参加している。このプロジェクトは葉莉さんの貢献が大きかったと、姚さんはたたえた。

 また、9歳になる娘、姚沁蕾(Yao Qinlei)さんも参加している。中米慈善試合と並行して農村の小学校チームの試合も組まれたが、9歳にして身長170センチの沁蕾さんは、上級生たちに交じって試合に参加。これは沁蕾さんにとって初の試合参加だったが、6得点を挙げた。

 ただ、姚さんは「この活動の主役は、農村から都市に来た子どもたちだ」として、自分や娘に関するメディアからの取材はできるだけ避けるようにしている。2013年から、姚基金では「希望小学校バスケットボールシーズン」に参加した子どもたちの中から20人以上を慈善試合に招待し、彼らにスター選手たちのエスコート役や配球係を頼んできた。

 今回は四川省の全安鎮の小学校からきた12歳の少女、田雨坤(Tian Yukun)さんらが参加。同世代の男子児童のレベルをはるかに超える技巧的なボールさばきを披露していた。

 こうした姚さんらの公益活動は、農村の小学生たちにスポーツの喜びを教えるだけでなく、将来の中国バスケットボールの発展を下支えする役割も担っている。

 姚基金による農村小学校でのバスケットボール普及は、この2年は参加人数を増やす方針から質の向上に転換してきており、コーチや教師ら指導者ら管理部門の育成に力を注いでいる。姚さんは「全体の管理システムをこの2年の間に整えて、寄付のシステムやボランティアコーチの育成などをスムーズにして、さらに多くの人たちに影響を与えるようにしたい」と語っていた。 (c)東方新報/AFPBB News