【8月30日 AFP】アルプス(Alps)山脈にある欧州最高峰のモンブラン(Mont Blanc、標高4809メートル)には、地球温暖化の影響がはっきりと表れている。

 モンブラン山麓のフランス最大の氷河、メール・ド・グラース(Mer de Glace)氷河は年々後退しており、登山電車の終着駅から氷河までの距離は毎年20歩ずつ長くなっている。

 渓谷の端には「1990年の氷河の位置」を示す標識が立てられているが、現在の氷河はそのはるか下に位置している。

 氷穴は現在、日光を遮るために白いシートで覆われ、その上に石を置いて固定してある。

■失われゆく登山ルート

 1970年代、フランスの有名登山家で登山ガイドでもあるガストン・ルビュファ(Gaston Rebuffat)氏は、モンブランの最も素晴らしい登山ルート100本を紹介した。

 その50年後、研究チームはこのうちの95本で、雪の状況や氷や岩の状態、アクセスのしやすさ、危険性について分析した。

 サボア・モンブラン大学(University of Savoie Mont BlancEDYTEM研究所の博士課程に在籍するジャック・ムレイ(Jacques Mourey)氏が6月に発表した論文によると、93本の登山ルートで気候変動の影響が見られ、このうち26本が深刻な影響を受けていた。また、3本のルートはもはや存在していなかった。

 岩盤の出現や雪や氷の脆弱(ぜいじゃく)化、クレバスの拡大といった変化が、これらの登山ルートをより複雑で技術的に困難なものにしている。(c)AFP