【8月8日 AFP】米カリフォルニア州の乾燥地帯に生息する植物で、アイルランドのロックバンド「U2」のアルバムタイトルにも引用された「ジョシュア・ツリー(Joshua Tree)」が、気候変動の影響により今世紀中に絶滅するかもしれないことが新たな研究により明らかとなった。

 研究を行った米カリフォルニア大学リバーサイド校(University of California at Riverside)のチームは気候変動に関する政府間パネル(Intergovernmental Panel on Climate ChangeIPCC)のデータを利用し、ジョシュア・ツリー国立公園(Joshua Tree National Park)内におけるジョシュア・ツリーの分布地域に対する温暖化の影響を調べた。

 ジョシュア・ツリー国立公園はカリフォルニア州南部のコロラド(Colorado)砂漠とモハベ(Mojave)砂漠にまたがり、同公園内に集中的に生息しているジョシュア・ツリーは実際には木ではなく、木のような姿になることもあるリュウゼツラン科の植物。

 研究チームの予測によると、人類が温室効果ガス排出をある程度まで抑えることができるという楽観的なシナリオでも、21世紀末までにジョシュア・ツリーの分布範囲は80%減少するという。

 一方で「いつも通りの状況」というシナリオでは、更新世から生息しているジョシュア・ツリーは21世紀内に完全消滅するという。

 ジョシュア・ツリーという名前は19世紀にモハベ砂漠を旅したモルモン教徒らの一団が名付けたと伝えられている。一団はジョシュア・ツリーの姿から、聖書に登場するジョシュアが空に手を差し伸べて祈る様子を連想したという。(c)AFP