【8月7日 AFP】イングランド・チャンピオンシップリーグ(2部)のダービー・カウンティ(Derby County)は6日、米メジャーリーグサッカー(MLS)のD.C.ユナイテッド(D.C. United)に所属するウェイン・ルーニー(Wayne Rooney)が選手兼コーチとしてチームに加わることに合意したと発表した。

 驚きの契約を結んだルーニーは、指導者の道に進みたいという長年の願いがD.C.ユナイテッド退団の決断を後押ししたと明かした。

 イングランド代表とマンチェスター・ユナイテッド(Manchester United)の最多得点記録を持つルーニーは、ダービーと1年半の契約を結び、ダービーへの正式加入は今季のMLSが終了した後の来年1月になるという。

 ダービーがルーニーに関心を抱いているといううわさは、2-1で勝利したハダーズフィールド・タウン(Huddersfield Town)とのリーグ開幕戦(5日)の直前に浮上していた。

 報道によれば、妻のコリーン(Coleen)さんはホームシックにかかっており、子どもを連れて英国に戻っていたという。

 ルーニーはイングランドに戻りたがっていたことを認めたが、現在は指導者ライセンスの取得に向けて動いており、オランダ1部リーグのPSVアイントホーフェン(PSV Eindhoven)を率いていたフィリップ・コクー(Phillip Cocu)監督から学べるということが、この予期せぬ移籍を考える上で大きな要因だったと明かした。

 ルーニーはこの日行われた記者会見で、「イングランドに戻ってプレーできるだけでなく、指導者としてのキャリアをスタートさせる機会だ。フィリップの下で仕事ができるのはとても素晴らしいことで、断ることなんてできなかった」と話した。

「何よりもまず、プレーでチームに貢献するつもり。次のキャリアに向けて経験を積むため、フィリップやチームスタッフから学びたいというのはその次」「他のチームからもオファーや打診はあったが、ここに来ることに決めた。ただそれだけだし、自分の決意を翻すつもりはなかった」

 33歳のルーニーは、ダービーでの時間が最終的に監督になるための新たなステップになることを望んでいる。

 2004年の欧州選手権(UEFA Euro)に出場したイングランド代表メンバーで指導者になるのは、ルーニーが8人目。

 ダービーで指揮を執っていたフランク・ランパード(Frank Lampard)監督はチェルシー(Chelsea)の新指揮官に就任しており、スティーブン・ジェラード(Steven Gerrard)監督はスコットランド1部のグラスゴー・レンジャーズ(Glasgow Rangers)を、ソル・キャンベル(Sol Campbell)監督はフットボールリーグ2(4部)のマクルズフィールド・タウンFC(Macclesfield Town FC)を率いている。

 また、ギャリー・ネビル(Gary Neville)氏はスペイン1部リーグのバレンシア(Valencia CF)で結果を残すことができなかったが、弟のフィル・ネビル(Phil Neville)監督は女子イングランド代表を指揮している。

 ジョン・テリー(John Terry)氏はアストン・ビラ(Aston Villa)でアシスタントコーチを務めており、ポール・スコールズ(Paul Scholes)氏も昨季は短期間オールダム・アスレチック(Oldham Athletic)の指揮官になっていた。

 ルーニーは「彼らが指導者の道に進んでいるのはうれしいが、今何をしているかは重要じゃないと思う」と続けた。「野心としてずっと持っていたもの。イングランドの若手監督がチャンスをつかんでいるのは素晴らしい」

「この15年から20年の間、われわれはイングランドのトッププレーヤーが指導者として成功したケースをそれほど見てこなかった。だから、彼らの成功を目にするのは素晴らしい」「ずっとやりたかったこと。適切なタイミングで転身できればうれしい」

 2004年の加入後、ユナイテッドで13年を過ごしたルーニーは、プレミアリーグで5度の優勝を果たし、リーグ歴代2位となる208得点をマーク。フットボールリーグカップ(England Football League Cup)も3度制し、欧州チャンピオンズリーグ(UEFA Champions League)やFAカップ(FA Cup)のタイトルも手にした。

 ルーニーは代表でもボビー・チャールトン(Bobby Charlton)氏が持っていた最多得点記録を更新し、120試合53得点という成績を残しているが、当時のイングランドは主要国際大会で思わしくないパフォーマンスを見せたチームとして記憶されている。(c)AFP