【8月6日 AFP】インド政府は5日、インドとパキスタンが領有権を争うカシミール(Kashmir)地方の印支配地域、ジャム・カシミール(Jammu and Kashmir)州に70年にわたって付与されていた特別自治権を剥奪した。また同州を二つの地域に分割し、中央政府の直轄支配とする法案を提出した。

 インド政府のこうした動きが、同じく核保有国でインドと敵対するパキスタンを激怒させ、イスラム教徒が多数を占めるカシミール地方でさらなる反乱が勃発するのではとの懸念が高まっている。

 印パ両国が1947年に独立して以降、カシミール地方は両国によって分割されている。インド側のジャム・カシミール州では、武装組織や多くの住民らが独立、もしくは隣国パキスタンへの編入を求め、過去30年にわたって反政府運動を展開しており、その間、数万人が死亡している。

 最近行われたインド総選挙では、ナレンドラ・モディ(Narendra Modi)首相率いる与党・インド人民党(BJP)が議席の大多数を占めた。BJPは、長年約束してきた特別自治権法の廃止を実行すると明言していた。

 そのため、カシミール地方の住民の間では特別自治権が剥奪されるのではないかと懸念が高まっていた。多くの住民らは、インド政府がヒンズー教徒を主とする非カシミール人らに土地を買わせて住まわせ、カシミールの人口構成を変えようとしているのではと恐れている。

 インド政府の措置は、すでに流血の事態が起きているカシミールの反乱をさらに激化させそうだ。また、3度の印パ戦争のうち2度はカシミールをめぐる交戦だったパキスタンの長年の敵意を深めることとなるだろう。ジャム・カシミール州の元高官はAFPに対し、「カシミール地方では強い反発があるだろう。この地方はすでに混乱状態にあり、これでは状況を悪くするだけだ」と非難した。(c)AFP/Abhaya SRIVASTAVA