【8月12日 AFP】テニス、ロジャーズ・カップ(Rogers Cup 2019)は11日、女子シングルス決勝が行われ、大会第8シードのセレーナ・ウィリアムス(Serena Williams、米国)がわずか4ゲームで涙の負傷棄権を強いられ、地元カナダの19歳、ビアンカ・アンドレスク(Bianca Andreescu)が優勝を果たした。

 セレーナは、1ブレークダウンのゲームカウント1-3の段階で腰痛のため試合を続けられず、メディカルタイムアウトを要求したが、1分とたたないうちに審判から棄権が発表された。ベンチへ近づいてきたアンドレスクに励ましの言葉をかけられたセレーナは、涙をこらえながら抱擁を交わした。

 試合後のインタビューで、セレーナは声を震わせながら、観客に向かって「ごめんなさい、きょうはプレーできなかった」「頑張ったけど無理だった」と話した。

「続けられないと分かっていた」と話す腰の痛みは、逆転勝利を収めた準決勝の時点で感じていたが、「そこから悪化した」「腰全体が完全に張っていて、夜も眠れず、体も動かせないほどだった」という。出産後初となるツアー73勝目を目指していたこともあって、「ここまで来たのだから試してもみないのはイヤだった」と試合前に数時間の治療を受けて強行出場したが、やはりプレーは不可能だった。

 それでも、マーガレット・コート(Margaret Court)氏に並ぶ四大大会(グランドスラム)最多24勝目が懸かる月末からの全米オープンテニス(The US Open Tennis Championships 2019)については、回復が間に合うはずだと考えている。

 37歳のセレーナは、2017年9月に長女を出産。しかし、出産前に出場した同年の全豪オープンテニス(Australian Open Tennis Tournament 2017)を最後にタイトルから遠ざかり、今季は膝の負傷に悩まされて出場試合数も多くない。グランドスラムでは復帰後に3回決勝に進出しているが、なかなか優勝には手が届かず、7月のウィンブルドン選手権(The Championships Wimbledon 2019)も決勝でシモナ・ハレプ(Simona Halep、ルーマニア)に敗れた。

 一方のアンドレスクは、1969年のフェイ・アーバン(Faye Urban)氏以来となる地元カナダ勢による大会制覇を果たしたが、喜び半分の快挙達成となった。優勝スピーチではセレーナに直接呼びかけ、「負傷棄権を強いられる気持ちは私も分かる」「こんな優勝の仕方も、あなたの棄権も予想していなかった。あなたのプレーはずっと見てきたし、コートの中でも外でも、あなたは真のチャンピオン」とコメントした。

 アンドレスクは3月のBNPパリバ・オープン(BNP Paribas Open 2019)で、大会史上初めてワイルドカード(主催者推薦)として優勝を果たし、一躍脚光を浴びたが、それに続く今季2個目のビッグタイトル獲得となった。

 しかしながら、試合後には今週開催されるウェスタン&サザンオープン(Western & Southern Open 2019)を欠場すると発表。「一度も行ったことがない場所なので、大会を棄権するのは非常に残念」「いまは体の声に耳を傾けないといけない。この1週間は楽ではなかった」とコメントしている。(c)AFP