【8月2日 AFP】オランダ政府は1日、イスラム教徒の女性が着用するブルカやニカブなど、顔を完全に覆い隠す服装を公共施設や交通機関内で禁止する法律を施行した。

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 人口1700万人のオランダでは、ブルカやニカブを着用している女性が200~400人いるとみられる。

 新法の法案は、反イスラムを掲げる極右・自由党を率いるヘルト・ウィルダース(Geert Wilders)氏が2005年に提案し、10年以上に及ぶ議論の末、昨年6月に可決・成立していた。

 新法は、公共の場では顔が見える状態でいなければならないと定めており、フルフェースのヘルメット着用やフードを深くかぶることも禁止。違反者は罰金150ユーロ(約1万7800円)の対象となる。フランスなどとは異なり、路上でのブルカ着用そのものを禁じてはいない。

 だが、政府所在地で事実上の首都機能が集まっているハーグ(The Hague)の市民には、新法は不評のようだ。

 AFPの取材に応じた28歳の女性は、「ばかばかしい。互いの価値観は尊重されなければならない。政府がこれまで考案した中でも、最も頭の悪いルールだと思う」と語った。57歳の男性も、「テロリズム対策とイスラム教などの宗教を混同している」と指摘した。

 内務省は新法の施行に伴い、ベールを着用したままの女性の立ち入りを拒否するよう学校や病院、交通機関に指示。女性が従わなければ「警察に通報してよい」と通告した。

 しかし、警察は新法の順守徹底を「絶対的な優先事項」とはみなさないとの見解を表明。公共交通当局も、遅延の原因となるためバスや路面電車、地下鉄ではブルカ姿の女性の利用を阻止せず、退去を求めたり警察の到着を待ったりもしないと発表した。病院も、来院者の服装にはこだわらずこれまで通り診察するとしている。(c)AFP/Charlotte VAN OUWERKERK