【7月31日 AFP】米国自由人権協会(ACLU)は30日、ドナルド・トランプ(Donald Trump)政権に対し裁判所が昨年、米メキシコ国境での移民親子の引き離しを中止するよう命じた後も、900人以上の子どもが親から引き離されてきたと主張した。

 ACLUはカリフォルニア州サンディエゴ(San Diego)の裁判所に提出した文書の中で、裁判所が移民親子引き離しの中止を命じたにもかかわらず、トランプ政権は交通違反などの軽い罪やネグレクトなどで親を訴え、国境で親子を引き離し続けていると主張した。

 ACLUによると、ある例では父親がおむつ交換を怠ったとして、1歳の娘と引き離された。

 別の男性は実父であることを証明できなかったために、3歳の娘と引き離された。その後、DNA検査によって親子関係が証明されたものの、この女児は一時収容中に性的虐待の被害に遭った。

 また、ある4歳の男児は、言語障害のある父親が米国境警備隊(Border Patrol)の隊員の質問に答えられなかったために引き離された。

 ACLUの弁護人を務めるリー・グラント(Lee Gelernt)氏は「トランプ政権が今も乳児を親たちから引き離していることは恐ろしいことだ」と語った。

 グラント氏はさらに「この残酷で不法な政策によって数千の家族が引き離されてきたが、新たに900以上の家族がそれに加わった」「交通違反のようなささいな反則行為で裁判所命令を回避する措置は、政権に認められていない」と述べた。

 トランプ政権は昨年5月、不法入国者を厳格に取り締まる「ゼロ・トレランス(不寛容)」政策の一環として、移民親子の引き離しを開始した。しかし国内外からの批判を受け、トランプ氏は開始後わずか6週間で方針を転換。両親が子どもに「危険」を及ぼさない限り、親子の引き離しを停止すると発表した。

 連邦裁判所判事はその後、この6週間に引き離された子ども推定2700人を親と再会させるよう命じた。以後、トランプ政権は、子どもを親から引き離すのは、親が子に危険を及ぼす場合に限定されると主張してきた。

 しかしACLUは、昨年6月以降に親から引き離された子ども900人以上のうち、危険にさらされていたのはごく少数にとどまると主張。さらに引き離された子どもたちの収容環境を激しく批判した。(c)AFP