【7月28日 AFP】豪水泳連盟(Swimming Australia)は28日、ドーピング検査で失格になったシェイナ・ジャック(Shayna Jack、オーストラリア)に関する対応は透明性を欠いたのではないかとする指摘を否定し、連盟はルールに従ったまでだと主張した。

 昨年のコモンウェルスゲームズ(2018 Commonwealth Games、英連邦競技大会)で世界記録を樹立した女子4×100メートル自由形リレーのメンバーだったジャックは、先月行われた抜き打ち検査で陽性反応を示し、暫定的な出場停止処分を科された。

 その後、ジャックは「個人的な理由」で第18回世界水泳選手権(18th FINA World Championships)の開幕直前に帰国していたが、27日になって今回の一件をメディアに報じられると、自らインスタグラム(Instagram)で故意の禁止薬物使用を否定した。

 豪水泳連盟はジャックのドーピング違反が明らかになった後、同選手が先月26日の検査で陽性反応を示したことはオーストラリア反ドーピング機関(ASADA)から伝えられていたと発表。その一方で、「ASADAか選手本人が失格となった検査結果の詳細を明らかにするまでは」内密にするよう義務づけられていたと付け加えた。

 しかし、ASADAの元トップであるリチャード・イングス(Richard Ings)氏は27日夜、連盟の認識に疑問を呈し、ジャックが当初出した「個人的な理由」という世界水泳欠場の説明は「虚偽」だったとツイート。「ASADAに承認された反ドーピングポリシーによって、ジャックの暫定資格停止処分を公表できなかったと豪水泳連盟が考えているなら、それは間違っている」と記した。

 また28日の投稿では「もし暫定的な出場停止処分は発表してはならないという方針を豪水泳連盟とASADAが持っているなら、すぐに変えるべきだ」「メジャーな国際スポーツは、どれも暫定処分を公表している。処分を科された選手を隠してはいけない。必ず明らかになることなのだから。透明性に関しては世界反ドーピング機関(WADA)によって定められている」とつづった。

 これを受け、豪水泳連盟のリー・ラッセル(Leigh Russell)最高経営責任者(CEO)は、ジャックの検査結果は「残念でならないし、恥ずかしい」としながらも、より早い段階で公表することについては、「非常に明確」な決まりが妨げになったと話した。

 オーストラリア勢は、男子のマック・ホートン(Mack Horton)がドーピング検査を妨害した疑惑が伝えられている中国の孫楊(Yang Sun、ソン・ヨウ)に激しく抗議していたが、今回の世界水泳に関連して初めてドーピング陽性反応の事例を出したことで面目を失う形となった。

 ジャックの検査結果がオーストラリアチームの選手に伝えられたのは27日になってからだと明かしたラッセルCEOは、仮に今回の件を事前に知っていたとしても、ホートンは同様の行動を取っただろうとの見方を示し、「マックは彼が心から信じることに対して明確な態度を取ったと思う」「私たちも同じ考えだと思っているし、自分たちの競技において薬物は絶対にあってはならないという認識で一致している」とコメントした。(c)AFP