【7月28日 AFP】給油を拒否されたためブラジルで何週間も足止めされていたイランのばら積み船2隻が、27日に出港することになったと、関係者が明らかにした。

 ブラジルの国営石油会社ペトロブラス(Petrobras)は、この2隻の所有者とされるイランの海運会社が米国の制裁対象だとの認識を示し、制裁違反を警戒して給油を拒否していた。

 このため2隻は先月初旬から、ブラジル南部パラナ(Parana)州のパラナグア(Paranagua)港で足止めされていた。

 報道によると、2隻とも肥料の原料である尿素をブラジルに輸送した後、イランにトウモロコシを運ぶ予定だった。イランの駐ブラジル大使は米ブルームバーグ(Bloomberg)のインタビューで、足止めの問題が解決しなければブラジルからの輸入を一時停止する可能性に言及。その後ブラジルの最高裁判所は、ペトロブラスに2隻への給油を命じた。

 港湾管理関係者によると、2隻のうち「テルメ(Termeh)」は27日正午(日本時間28日午前0時)ごろ、ブラジル国内の別の港に向けて出港した。この港でトウモロコシを積み込む予定。もう1隻の「バーワンド(Bavand)」は既に積み込みを完了し、27日夜(日本時間28日)にイランに向けて出港する予定だという。航海日数は約30日の見込み。

 米国はイランや同国と取引がある企業に制裁を科しており、両国間の緊張の高まりが軍事衝突に発展する可能性も警戒されている。ブラジルは今回、2隻の船によってこの世界的な対立に巻き込まれた。(c)AFP