【7月27日 AFP】英国の通信・放送に関する規制機関である情報通信庁(オフコム、Ofcom)は26日、ロシア国営テレビ局RTに対し、イングランドのソールズベリー(Salisbury)で昨年起こった神経剤襲撃事件とシリア内戦をめぐる報道で「重大な」偏向があったとして、20万ポンド(約2700万円)の制裁金を科した。この措置はロシア側の怒りを呼んでいる。

 ロシア外務省は、制裁金は「検閲行為」だとし、モスクワで事業を行う英メディアが「報いを受けることになる」と警告した。また、RTは同省に先立ち、制裁金は「驚き」だと批判。英当局の捜査について、すでにロンドンの高等法院に司法審査を求めている。

 RTは、同社をロシア国家のプロパガンダ機関とする批判を一蹴。世界のニュースについて、大勢と異なる独立した見解を示していると主張した。

 オフコムは26日、RTが2018年3月17日から4月26日までに放送した計7本のニュース番組と時事番組で、ニュース報道の公平性について定めた英国法に違反したと指摘。国営ロシア通信(RIA)が設立した非営利組織で、RTの親会社に相当するTVノーボスチ(TV-Novosti)に対し、20万ポンドの制裁金を科した。

 オフコムは昨年12月、RTが英国の厳格なメディア規制に違反していると初めて認定した。

 RT側はこの措置の直後に異議申し立てをしており、司法審査が続く中で今回の制裁金が科されたことは「大変な誤り」だと批判。AFPに対し、12月の判断や26日の制裁金額の適法性について異議を申し立てると述べた。

 ロシアのメディア規制当局は12月、オフコムの判断の数時間後に対抗措置を取り、英BBCがシリア情勢の報道を通じて「テロ集団」の映像を広めているとして調査を開始。この調査は現在も続いている。(c)AFP/Dmitry ZAKS