【7月26日 AFP】カンボジアの海軍基地に、中国軍艦の停泊を許可するという密約が交わされたと米紙が報道したことを受けて、これを否定するカンボジア当局は26日、同基地を報道陣に公開する異例の措置を取った。

 同国南西部シアヌークビル(Sihanoukville)近郊にあり、タイ湾(Gulf of Thailand)に面するリアム(Ream)海軍基地は、各国が領有権を激しく争う南シナ海(South China Sea)に容易にアクセスできる、戦略上極めて重要な基地。

 米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)は今週、このリアム海軍基地に中国の軍艦停泊や武器保管を許可する合意が締結されたと報道。数か月前からのうわさを裏付けた形となった。

 しかし、中国の影響力増大に不安を募らせる市民の反中感情がかき立てられることを懸念するカンボジア側は、これを強く否定。

 同基地を案内した国防省報道官は記者団を前に、「隠す物は何もない」と言明。「ご覧の通り、報道されたような中国の軍事基地に関わる物は一切ない」と強調した。

 報道陣は海軍や政府の関係者らが同行する中、カンボジア国旗が掲げられ、大砲を搭載した複数の監視船も見学したが、これらの船がどこから来たかは不明。中国はここ数年間に、数隻の軍艦をカンボジアに無償提供している。

 カンボジアの憲法は、外国軍の国内駐留を認めていない。しかし中国は近年、カンボジアにカジノや宿泊施設、道路を建設し、数十億ドル規模の長期低利融資を行うなど、影響力を急激に強めている。(c)AFP