■必要なのはガバナンス

 減少の理由として、報告書ではさまざまな点が指摘されている。「ばらばらで分かりにくい」学生大会の構造、優秀な指導者の不足、激しい体のぶつけ合いであるラグビーというスポーツ自体への懸念。セミプロレベルの強豪チームがある中で過剰な競争が起こっていることも、「不穏で不吉な結果を生んでいる」という。

 ゴール氏は、大きな問題は学生大会の主導権を握りたい学校同士、クラブ同士、地方の協会同士の対立にあると述べている。優れた統治体制がなければ、ラグビーの門戸を広げ、多くの人の参加を促し、勝利以外の価値観を重視する方針を採用するのは難しい、というのがゴール氏の考えだ。

「場当たり的なやり方ではダメでしょう。必要なのは、詳細なプランニングと戦術的な思考を活用し、ラグビー発展の道を考えていくことです」「自分勝手な考えは捨て、もっと協力し合わなくてはいけません」

「地方によっては、クラブが別のクラブや学校と、そして学校がクラブや地方協会と戦争をしています。そうした状況に、歯止めをかけなくてはいけません」

 報告書の内容を受けて、NZRはセカンダリースクールのラグビーを担当するマネジャーを任命し、競技運営を統括する新たな構造を模索している。

 ゴール氏は、学生ラグビーが健全な状態を保つメリットの一つとして、オールブラックスをはじめとする国内各チームに優秀な選手を安定供給する体制が確立することを挙げている。

「何のかのと言ってもラグビーは人気スポーツで、ファンも大勢います。今後もニュージーランドラグビーが衰退することはないでしょう」

「学生レベルのラグビーも、これからも健在であり続けるはずです。私が言いたいのは、参加率を増やしてピラミッドの底辺を拡大すれば、最高レベルの才能が輩出される可能性も高まるということです」 (c)AFP/Neil SANDS