■立ちはだかる「アメリカ・ファースト」

 ジョンソン氏とトランプ氏の関係は常に親密だったわけではない。

 トランプ氏は大統領選に出馬した2015年、ロンドンの一部がイスラム過激派によって危険な区域になったと話した。当時ロンドン市長だったジョンソン氏はこの発言に対し、ニューヨークの一部は「ドナルド・トランプに会うという現実的な危険」があるから行かないとやり返している。

 それ以来、短期間外相を務めたジョンソン氏はトランプ氏から距離を置いていた。また、トランプ氏のイラン政策にも反対している。

 トランプ氏は、ブレグジット後の英国と「素晴らしい」貿易協定を締結することをちらつかせており、ジョンソン氏もトランプ米大統領のそうした言葉に触れ、欧州から離脱しても悲惨なことにはならないと主張している。だが、米英の貿易協議はやはり緊張をはらんだものとなるだろう。

 ロンドンにある欧州改革センター(Centre for European Reform)のルイージ・スカツィエリ(Luigi Scazzieri)氏は、「2人の指導者は親和性があるが、両者の利害は必ずしも一致していない」と指摘。「米国と貿易協定を締結するというジョンソン氏の野望は、トランプ氏の『アメリカ・ファースト(米国第一)』という本能によってくじかれるだろう」と話す。

「トランプ氏は英国との貿易交渉で譲歩するとは思えない。英国に農業と医療サービス分野を解放するよう要求し、米国の利益を最大化しようとするだろう。このような要求があれば、両者が合意に至ることは不可能になる」

(c)AFP/Francesco FONTEMAGGI