【7月20日 AFP】香港の警察当局は20日、強力な爆発物を製造する仮設工場を摘発し、27歳の男を逮捕したと発表した。現場からは独立派のビラも一緒に見つかったという。

 警察発表によると、強制捜査は19日夜、荃湾(Tsuen Wan)の工業用建築物で実施された。

 爆発物処理を担当する警察幹部は20日、報道陣に対し、「高性能爆薬、すなわちTATP(過酸化アセトン)がつくられていた自家製の製造所で、われわれは対応に当たっている」と説明。「これは非常に不安定ながら強力な爆薬だ。使用された場合には甚大な被害を引き起こす」と述べた。

 TATPの製造には高度な技術が必要とされるが、これまでも大規模な攻撃で多用されており、2005年に英ロンドンで起きた同時多発自爆攻撃や、今年4月にスリランカで起きた連続爆発事件でTATPが使用されている。

 先の幹部はまた、今回発見されたTATPは安定性が低いため、少なくとも1度、制御しながら爆破処理を実施したとし、今後も同様の処理を行っていくとしている。

 警察はさらに、その他の押収品として、香港の独立を主張する政治団体「香港民族陣線(Hong Kong National Front)」のロゴ入りTシャツや、香港を揺るがしている反政府大規模デモに関連したビラを公開した。

 警察の強制捜査を受け、香港民族陣線はフェイスブック(Facebook)で声明を発表。逮捕された男がメンバーであることは認めたが、爆発物に関しては何も知らないと主張した。

 香港の非主流である独立派団体をめぐっては2017年11月、爆発物製造の罪でメンバー2人が禁錮刑の判決を言い渡され、収監されている。(c)AFP