【7月16日 AFP】ボクシングの元五輪王者で、4階級で王座を獲得したパーネル・ウィテカー(Pernell Whitaker、米国)氏(55)が交通事故で死亡したことが、15日、現地警察によって明らかにされた。発表によると、同氏は14日に米バージニア州バージニアビーチ(Virginia Beach)の交差点で車にひかれたという。

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 警察はコメント文で、「警察官が現場に到着したところ、車にひかれた大人の男性1人を確認した」「被害者は負傷して現場で亡くなった」と公表した。事故に関係した車の運転手は、その場にとどまり負傷者を介抱していたとされている。

 アマチュア時代の1984年にロサンゼルス五輪でライト級の金メダルに輝いたウィテカー氏は、その卓越したテクニックでプロボクシングでは同級を筆頭に、スーパーライト級、ウエルター級、スーパーウエルター級のタイトルを獲得するなど、同世代のファイターで最も才能に恵まれたボクサーの一人として活躍した。

 プロ46戦の通算成績は40勝(17KO)4敗1分(無効試合1)を記録し、2001年に現役を引退。1989年にはボクシング専門誌リングマガジン(Ring Magazine)認定のファイター・オブ・ザ・イヤーとなった。

「スイートピー」の愛称でも親しまれていたウィテカー氏にとって、ハイライトとなった試合の一つは、1993年9月に米サンアントニオ(San Antonio)で行われたフリオ・セサール・チャベス(Julio Cesar Chavez、メキシコ)との一戦となっている。

 両者が最終ラウンドまで激しい打ち合いを繰り広げたこの一戦では、多くの専門家がウィテカー氏の勝利を確信したものの、判定はマジョリティードローとなった。

 守備志向が強いウィテカー氏はその後、WBCウエルター級のタイトル防衛を懸けた一戦で、1997年にオスカー・デラホーヤ(Oscar De La Hoya、米国)との激しい戦いの末に敗れて王座から陥落。

 さらに1999年にはフェリックス・トリニダード(Felix Trinidad、プエルトリコ)戦に完敗し、2001年4月にはカルロス・ボホルケス(Carlos Bojorquez、メキシコ)戦にもあっさりと敗れるなど連敗が続き、ついに引退に追い込まれた。(c)AFP