【7月14日 AFP】オーストラリアの観光名所である巨大な一枚岩「ウルル(Uluru、エアーズロック、Ayers Rock)」で、聖地保護の観点から今年10月に登山が禁止されるのに伴い、駆け込み需要によって悪影響をもたらす水準の観光客が流入していることが分かった。旅行事業者が12日、明らかにした。

 ウルルへの登山は、所有権を持つ先住民アボリジニのアナング(Anangu)人の意向を踏まえ、禁止されることになっている。

 だが、禁止前の駆け込み需要で観光客が急増。国連教育科学文化機関(UNESCO、ユネスコ)の世界遺産(World Heritage)にも登録されているウルル・カタ・ジュタ国立公園(Uluru-Kata Tjuta National Park)は問題を抱え込むことになった。

 非営利団体「ツーリズム・セントラルオーストラリア(Tourism Central Australia)」のスティーブン・シュワー(Stephen Schwer)代表によると、特に問題なのは、キャンピングカーやRV車で訪れる家族連れの来訪者だという。

 シュワー氏は「車で訪れる観光客の数に対応できるだけの十分なインフラがない」と指摘。ほとんどの観光客は適切に行動しているものの、同地のキャンプ場は予約のみで満員となっているため、計画をきちんと練らないまま違法にとどまる人も多いという。

 シュワー氏はさらに、「人々は道路から外れた時、実際は牧畜用の土地、アボリジニの土地、保護された土地に侵入していることを認識していない」「悲しいことに、実際は私有地なのに人の住んでいない土地だと思って、車にたまった排せつ物を捨てる人もいる」と語った。

 国立公園を所管するパークスオーストラリア(Parks Australia)によれば、2019年6月までの1年間で、前年比約20%増となる39万5000人超がウルル・カタ・ジュタ国立公園を訪れた。だがそのうち、ウルルに登ったのは13%にすぎない。

 旅行事業者らによると、ウルルへの登山を試みるのは通例、オーストラリア人と日本人だという。(c)AFP