【7月26日 東方新報】米EV(電気自動車)メーカー大手のテスラ(Tesla)が近く竣工(しゅんこう)を目指す上海工場「ギガ・ファクトリー3」では、社員・従業員募集をすでに開始している。上海市浦東(Pudong)新区人材センターで開催された6日の従業員募集の面接試験には、500人の応募者が殺到した。

 テスラの今年第2四半期の販売台数は、アナリストらの予想を超えて9万5000台と過去最高を記録したが、米中貿易摩擦激化の中で、中国市場のテスラ車の需要について投資家の間では懸念が強まっている。最高経営責任者(CEO)のイーロン・マスク(Elon Musk)氏の性格もあって、この2年の間に同社を支えてきた有能な幹部が相次いで退社しているが、就職希望者の多さをみれば、中国では依然根強い人気のようだ。

 上海工場は、テスラが米国以外に初めてつくるメガ工場。中国における外資独資自動車工場第1号でもあり、マスクCEOが「弩級戦艦」とあだ名にするほどの大規模投資だ。中国のEV市場の「黒船」とも、乱立気味の中国EV業界再編の契機になるともいわれている。上海工場向け従業員募集が実施されるのはこれで4回目。これまでは高級エンジニアなど給与の高いホワイトカラー層や、現場管理者や班長などの管理職の募集が中心だったが、今回からは主に工場現場で作業するエンジニア、現場管理監督、装備、塗装、溶接、生産、プレス加工などの専門技術職や新設運営、物流、品質管理などの分野の人材募集に入る。

 面接者にはネット上の応募の段階で履歴書による書類選考が行われ、自動車工場現場経験者が優先的に面接試験に参加した。この面接から約1、2週間後に結果が発表され、最短で1か月後の就職となる。

 応募者の中には、上海ゼネラルモーターズなど米資系大手自動車工場経験者も少なくなく、要求する給与水準も高めだ。米中貿易戦争で、米資系企業が軒並み事業規模の縮小が迫られ、リストラも増えているなか、米企業の中でも特に中国と関係のいいテスラは、外資水準の高給を求めるエンジニアたちに人気のようだ。

 早ければ年末までに生産ラインが始動する予定で、主に「Model3」の新型車を生産。来年早々には中国上海製のテスラが中国の道路を走っているのが見られそうだ。(c)東方新報/AFPBB News