【7月11日 AFP】交通事故で脳に重度の損傷を負いフランス北東部ランス(Reims)の病院で植物状態となっていたバンサン・ランベール(Vincent Lambert)さん(42)が、生命維持装置の取り外しから9日目となる11日に死去した。ランベールさんの延命治療を継続するかどうかをめぐっては、死ぬ権利に関わる問題として仏国内で大きな議論となっていた。

 ランベールさんのおいによると、ランベールさんは11日午前8時24分(日本時間同日午後3時24分)に死去した。

 ランベールさんは2008年、交通事故で脳に重度の損傷を負い四肢まひとなり、医師から回復の見込みはないと診断された。植物状態となったランベールさんの延命措置継続をめぐっては家族はもとより、仏国民の意見も二分した。

 法廷後見人でもあるランベールさんの妻は、書面には残されていないもののランベールさんが事故前、人工的に生かされるのは嫌だとはっきり意思表示していたと主張。

 これに対し、熱心なカトリック教徒であるランベールさんの両親は延命治療を望み、法的措置によってこれまで5回にわたって医師による生命維持装置取り外しを差し止めてきた。

 ローマ・カトリック教会のフランシスコ法王(Pope Francis)も今年5月、ツイッター(Twitter)でランベールさんに言及し、命は神からの贈り物であり、自然な死を迎えるまで守り抜くことが必要だと訴えていた。

 数年におよぶ法廷闘争の結果、同国の最高裁に当たる破棄院がランベールさんの生命維持装置停止を認める判決を下し、ランスの病院の医師たちは今月2日から装置の取り外しに着手していた。(c)AFP