【7月10日 AFP】テリーザ・メイ(Theresa May)英首相の後任を決める与党・保守党党首選の最終候補、ボリス・ジョンソン(Boris Johnson)前外相とジェレミー・ハント(Jeremy Hunt)外相は9日、テレビ討論で激論を交わした。ハント氏はジョンソン氏が英国民に提供できるものとして「盲目的な楽観主義」以外に何も持っていないと批判した。

 保守党党首選で優勢となっているジョンソン氏は有権者に対し、欧州連合(EU)離脱(ブレグジット、Brexit)を、EU側と合意した最新の期限である10月31日までに何があっても実行すると約束した。

 最初で最後となった2人のテレビ討論で、ハント氏はジョンソン氏がEU側と合意のないまま離脱することのリスクについて正直に語っていないと非難。「ブレグジットを達成するということは、盲目的な楽観主義によらず、英国にとって正しい合意内容の詳細を理解するということだ」と主張した。

 前ロンドン市長でハント氏の前に外相を務めたジョンソン氏は独特な表現力とジョークで知られるが、次期首相として曖昧な計画しか持っていないと批判を受けてきた。ジョンソン氏は英国がこれまで「腹いっぱいの敗北主義」にのまれてきたと言い返し、自身の手で「英国が魅力を取り戻す」ようにし、「ハムスターが回す車輪のように繰り返す運命からの脱却」を果たすと述べた。

 調査会社ユーガブ(YouGov)が先週末に実施した調査で、保守党員の74%がジョンソン氏を支持していることが明らかになったが、民放ITVが放送した今回のテレビ討論でハント氏は、戦わずして諦めることはしないという姿勢をあらわにした。

 ハント氏はジョンソン氏の発言に繰り返し口を挟み、もしブレグジットを達成できない場合は辞任するかと質問した上で、ジョンソン氏が質問にきちんと答えていないと非難。これに対しジョンソン氏はいつもの人を食った態度で、「私を辞めさせようとわざと離脱協定に合意しない可能性をEUに差し出したくないのだ」と答えた。

 両氏とも、メイ氏がEUと合意した離脱協定案についてEUと再交渉できると主張している。メイ氏の離脱協定案は英議会で何度も否決され、メイ首相はブレグジットの期限を2度延長することを余儀なくされた。

 EU側は再交渉しない構えを見せており、ハント氏とジョンソン氏は必要であれば合意なき離脱も辞さないと表明している。

 党首選の投票用紙はすでに約16万人の保守党員に配布されており、投票結果は今月23日に発表される予定。(c)AFP/Alice RITCHIE