【7月8日 AFP】香港の警察当局は8日、前日夜から8日朝にかけて発生した機動隊と反政府デモの参加者らの衝突により、5人が逮捕されたと発表した。中国本土への容疑者引き渡しを可能にする「逃亡犯条例」改正案がきっかけとなり、国際的な金融のハブ(中心地)である香港を揺るがしている暴力を伴った政治危機は、いまだ収束の兆しが見えていない。

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 香港では7日、大規模なデモ行進が平和裏に実施されたが、旺角(モンコック、Mongkok)地区では同日夜、撤退を拒んだ主に若者たちから成るマスク姿のグループに対し、警棒を手にした機動隊が突撃。新たな衝突が発生していた。

 警察当局は8日朝、このグループが「違法な集会」に参加していたとし、事前に当局が対応策を取ると警告していたことを明らかにした。

 これに対し、活動家らは警察が取った手段を激しく非難。旺角地区での抗議デモ参加者は帰宅の際にも平和的に振る舞っていたが、盾を持って列となり、群衆の行く手をふさいだ機動隊によって暴力沙汰が始まったと述べた。

 民主活動家の黄之鋒(ジョシュア・ウォン、Joshua Wong)氏はツイッター(Twitter)に、「逃亡犯条例改正案に対する平和的な抗議活動に参加した香港の人々は、香港警察から殴打され、暴行を受ける結果となった」と投稿。少なくとも2人のデモ参加者が頭部の傷から出血している様子を捉えた写真を添えて、「警察による過剰な実力行使のさらなる事例だ」と述べた。

 一方の警察は、繰り返し要請を受けているにもかかわらず、先月の抗議活動における拘束者数の内訳を公表していない。

 AFPの集計では、少なくとも72人が逮捕されたとみられる。(c)AFP