【9月23日 AFP】香港と中国南部・広東(Guangdong)省広州(Guangzhou)を結ぶ新たな高速鉄道が23日、開業した。巨額の費用を掛けた大型プロジェクトだが、香港側の駅に中国本土の法律が適用される特別区域が設けられたことで、中国に香港の一部を譲り渡すものだとする批判もある。

 駅には数百人が集まり、深セン(Shenzhen)行きの最初の列車が午前7時(日本時間同8時)に出発した。香港―広州間の所要時間は新たな高速鉄道によって大幅に短縮される。長距離列車を使えば従来24時間かかっていた北京にも9時間で行くことができる。

 先祖伝来の家がある広東省潮州(Chaozhou)に行くという乗客の男性は「時間の面では間違いなく便利です」と話した一方、運賃が高く、切符の販売システムも非効率的で事前に購入した際に4時間も並んだと語った。

 運賃は2等席で深センまでが86香港ドル(約1200円)、広州までなら247香港ドル(約3600円)。北京まで行くなら1237香港ドル(約1万8000円)だ。

 香港の西九龍(West Kowloon)駅には中国本土の法律が適用される特別区域が設けられ、高度な自治が認められている香港に初めて中国の治安要員が配置された。乗客らは出入境審査や税関検査を通って中国側の管理区域に入る。プラットホームや列車も中国側の区域に含まれる。

 当局は、中国と香港の協力によって出入境審査や税関検査を西九龍駅に集約すれば中国本土への越境後に改めて手続きを取る必要がなくなるため、目的地まで速やかに移動できるようになると主張している。

 ただ、2014年の大規模な民主化要求デモ(雨傘運動)や香港独立運動の始まりを受け、中国政府が香港への締め付けを強めようとしていることから、反対派は香港の土地の管理を中国に譲り渡すのは危険な前例になる恐れがあると警戒感を示している。(c)AFP/Elaine YU