【7月7日 AFP】地中海で移民船の動向を見守っている団体「メディテラニア(Mediterranea)」の救助船が6日、イタリア・ランペドゥーサ(Lampedusa)島への入港を強行した。イタリアの対移民強硬派、マッテオ・サルビーニ(Matteo Salvini)副首相兼内相は移民救助船を受け入れない方針を示しているが、先月28日のドイツの非政府組織(NGO)の救助船に続き、2隻目の強行入港となった。

 イタリア船籍の移民救助船アレックス号(Alex)は、救助した移民と難民認定申請希望者を乗せたまま、2日間海上で待機していた。強行入港したものの、港湾に大量配備された警察官に阻まれ、下船は認められなかった。

 サルビーニ氏は6日夜、「イタリア法を意に介さず、人身売買業者の手助けをしている連中の上陸など一切認めない」とツイッター(Twitter)に投稿した。

 サルビーニ氏は先月、「許可なくイタリア領海に入った」船の船長と所有者、運航者に最大5万ユーロ(約610万円)の罰金を科す政令を出した。さらにアレックス号の入港後、罰金を100万ユーロ(約1億2000万円)に引き上げる方針を示した。

 メディテラニアはツイッターで、「上陸可能な安全な港はここしかない」「船上は耐え難い衛生状態だ」と訴え、救助した人々の下船を認めるよう求めた。

 さらに、「遭難者と乗組員は疲れ切っている。救助された人々はケアを必要としている。これは非常に奇妙で理解し難い状況だ。待機の引き延ばしは不必要な残虐行為だ」と述べた。

 ドイツの非政府組織(NGO)「シーウオッチ(Sea-Watch)」の移民救助船も先月28日、ランペドゥーサ島への入港を強行したが、当局に拿捕(だほ)され、カロラ・ラケッテ(Carola Rackete)船長は逮捕された。

 イタリアの裁判所は今月2日、ラケッテさんは人命救助をしただけと判断し、釈放を命じた。この判決はサルビーニ氏を激怒させた一方、アレックス号の乗組員に入港強行を決意させた可能性もある。

 強行入港した2隻のほか、ドイツのNGO「シーアイ(Sea-Eye)」の移民救助船「アラン・クルディ(Alan Kurdi)」も、リビア沖で救助した移民65人を乗せてランペドゥーサ島沖の国際水域に到着した。シーアイは6日、救助船アラン・クルディをマルタに向かわせたと発表した。

 メディテラニアを構成しているのは主に、自分たちは「サルビーニ氏の敵」だと公言している左派の活動家たちだ。サルビーニ氏は自身の人気と、自身が率いている政党「同盟(The League)」の躍進について、移民救助船に対する強硬姿勢のおかげだと考えている。

 中立系日刊紙コリエレ・デラ・セラ(Corriere della Sera)が6日報じた世論調査結果によると、イタリア国民の59%は、サルビーニ氏の移民救助船受け入れ拒否政策を支持している。(c)AFP/Charles ONIANS