【7月4日 AFP】米アラバマ州で妊娠中に銃で腹部を撃たれ流産した女性が胎児を死亡させたとして過失致死罪で起訴されたことをめぐり、同州の検察は3日、女性に対する起訴を取り下げた。

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 起訴を取り下げられたマーシェ・ジョーンズ (Marshae Jones)さん(27)は妊娠5か月だった昨年12月、けんかになった別の女から銃で腹部などを5発撃たれ流産した。

 当初は撃った女の方が起訴されたものの、その後検察が案件を取り下げ、先週になってジョーンズさんが過失致死の疑いで逮捕された。当局は事件について、けんかをエスカレートさせた責任はジョーンズさんにあると説明していた。

 ジョーンズさんに対する起訴をめぐっては人権団体などが激しく反発。ジョーンズさんの弁護人が起訴の取り下げを求める申し立てを行い、アラバマ州バーミンガム(Birmingham)の南西に位置するベッセマーカットオフ(Bessemer Cutoff)の地区検事は3日、起訴を取り下げた。

 ジョーンズさんの弁護を担当するマーク・ホワイト(Mark White)氏は地区検事の決定について、「依頼人にとってもアラバマ州にとっても適切なもの」と評価し、「検事の決定はジョーンズさんが今回の悲劇から今後立ち直る助けとなるだろう」と指摘した。

 米国では南部・中西部の10以上の州で中絶を規制する法案が可決され、現在裁判で争われている。中でもアラバマ州では今年5月、レイプや近親相姦(そうかん)による妊娠も含めて中絶をほぼ全面的に禁止し、殺人罪に等しいとみなす全米で最も厳しい法案が可決されている。

 アラバマ州では今年11月から新法が施行される予定となっているが、1973年に最高裁が女性の中絶の権利を認めた「ロー対ウェイド(Roe v. Wade)判決」に反するとして裁判で差し止め命令が出るものとみられている。(c)AFP