【6月28日 AFP】米航空宇宙局(NASA)は27日、ドローンに似た回転翼で飛行する新型の探査機「ドラゴンフライ(Dragonfly)」を土星の最大の衛星タイタン(Titan)に送り、生命の起源を探る計画を発表した。2026年に打ち上げ、2034年にタイタン着陸を目指す。

 トンボの名を冠した新探査機は8基の回転翼を備えており、ドローンのように飛行と着陸を繰り返してタイタン上の十数地点を探査する予定。

 タイタンは氷で覆われた天体だが、厚い大気が存在し、太陽系で地球以外に唯一、液体状の川や湖、海があることが分かっている。これらの液体はメタンやエタンで、大気の主成分は窒素だが、科学者らは原始の地球と酷似していると指摘する。

 NASAの計画では、ドラゴンフライは2年7か月かけて総距離175キロ以上を飛行。有機物でできた砂丘から、生命誕生の鍵とされる液体状の水や複合有機物がかつて同時に存在した可能性のある衝突クレーターの底まで、広範囲を調査してタイタンにおける前生物的化学進化を探る。

 また、大気や地表の成分、地下海や地下湖も調査。生命が存在した証拠や、今も存在している証拠となる化学物質を探すという。(c)AFP