【6月26日 AFP】平昌冬季五輪でメダルを獲得した韓国のショートトラック男子選手が、別の男子選手にセクシュアルハラスメント(性的嫌がらせ)を行っていたことが25日、関係者の発表で明らかになった。これを受けて、代表チーム全体に処分が科されている。

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 現在のところ当事者の個人名は明かされていないが、問題行為は鎮川(Jincheon)のナショナルトレーニングセンターで起こり、セクハラを行った選手は別の選手のズボンを無理やり下ろし、下着姿でチームメートの前に立たせたと報じられている。

 大韓体育会(KSOC)の発表によると、コーチ陣はこれをチームの連帯責任と考え、男子7人、女子7人のチーム全員を1か月間のトレーニングセンター入場禁止処分とした。KSOCは「こうした不適切行為は(ショートトラックのチームで)これまでにも数多くあり、それも今回の決断を下した一因だ」と話している。

 韓国のスケート競技をめぐっては、今年に入ってすでに、ショートトラックの男子選手が同じ鎮川の施設の女子寮に忍び込んで1か月の謹慎を命じられていたが、今回の出来事はそれに続く競技外での恥ずかしい不祥事となった。

 韓国は夏季、冬季を問わず五輪でメダル獲得数上位10か国の常連となっているアジア有数のスポーツ大国だが、同国のスポーツ界は勝利がほぼすべてという猛烈な競争社会であることが知られていて、肉体的、心理的な暴力が横行しているといわれる。

 特にショートトラックでは近年、暴行がらみの重大なスキャンダルがいくつか発覚していて、2019年1月には五輪で2個の金メダルを獲得した女子の沈錫希(Suk-Hee Shim、シム・ソクヒ)が、元コーチからセクハラや暴行を複数回受けていたことを公の場で告発した。

 また昨年にはスピードスケート女子の盧善英(Seon-yeong Noh、ノ・ソンヨン)が、2014年のソチ冬季五輪で金メダルの有力候補だった弟のショートトラック選手、盧珍圭(Jin-kyu Noh、ノ・ジンギュ)さんに無理やり練習を続けさせ、慢性的な痛みを訴えていたのに治療を受けさせなかったとして、大韓スケート連盟(KSU)を訴えている。

 トレーニング中に負傷し、骨肉腫が見つかった珍圭さんは、ソチ五輪への出場はかなわず、2016年にこの世を去っている。(c)AFP