【6月23日 AFP】米紙ワシントン・ポスト(Washington Post)は22日、イランによる米無人偵察機の撃墜を受け、米国がミサイル発射やスパイ活動に関わるイランのコンピューターシステムにサイバー攻撃を行っていたと報じた。

 イランが20日に米国の無人偵察機を撃墜した後、ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領は報復として軍事攻撃をいったん承認したが、報復措置としては「釣り合わない」として承認を撤回。代わりにイランに新たな制裁を科すと宣言していた。

 しかし、ワシントン・ポストは事情に詳しい消息筋の話として、トランプ氏は無人機撃墜後に米サイバー軍(US Cyber Command)に対し、報復としてイランを標的としたサイバー攻撃を秘密裏に承認していたと報じた。この攻撃によって、イランのロケットとミサイル制御コンピューターが機能不全に陥ったが、死傷者は出ていないという。

 ワシントン・ポストによると、サイバー攻撃は何週間もかけて練られた計画で、13日にホルムズ海峡(Strait of Hormuz)で発生したタンカー2隻への攻撃を受けて、これへの報復として初めて実施が進言されていた。米国はタンカー攻撃はイランによるものだとして、イランを非難している。

 また、米ヤフーニュース(Yahoo News)も元情報当局者2人の話として、中東海域における戦略的要衝であるホルムズ海峡を航行する船舶を監視するイランのスパイ組織に対し、米サイバー軍がサイバー攻撃を実施したと伝えた。

 これらの報道について、米国防総省のヘザー・バッブ(Heather Babb)報道官はAFPの取材に、「これは政策と作戦遂行上のセキュリティーに関わる問題だ」と述べ、「サイバースペース上の作戦や情報活動、計画に関してはお話しできない」として、報道内容に関するコメントを避けた。

 トランプ氏は昨年5月、イランの核開発を制限する目的で2015年にイランと主要6か国が締結した核合意からの離脱を宣言。以来、米イラン関係は一段と緊迫化している。(c)AFP