【6月22日 AFP】中東のオマーン湾(Gulf of Oman)で先週起きたタンカー攻撃で、専門家らはAFPに対し、日本のタンカー「コクカ・カレイジャス(Kokuka Courageous)」が爆発に見舞われる前に上空で目撃された「飛来物」は無人偵察機だった可能性があるとの見方を示した。

 タンカーを運航する海運会社「国華産業(Kokuka Sangyo)」の堅田豊(Yutaka Katada)社長は、爆発により火災が発生する直前、日本人とフィリピン人の乗組員が「飛来物」を目撃したと述べていた。

 堅田社長は「乗組員が飛来物でやられたと言っている」と説明。正体不明の物体が最初、タンカーの上空を飛行し、3時間後に再び飛来した際に爆発が起きたとしている。

 米海軍は、第2次世界大戦(World War II)でも使用された吸着型機雷が水面より上の船腹に仕掛けられ、爆発を引き起こしたと主張しており、この見解には専門家らも同意している。

 吸着型機雷は、船体の金属部分にくぎや磁石で装着できる円すい形の装置。専門家らは、攻撃後に残された証拠から、吸着型機雷が使用されたことが示されていると指摘している。

 フランス海軍士官学校の元校長で、退役海軍中将のジャンルイ・ビショ(Jean-Louis Vichot)氏は「証拠をみると、これは船舶への物体の衝突によって引き起こされたものではない」と明言。「これは実際には、不発に終わった吸着型機雷の痕跡だ」、「乗組員らが話していたのは無人機、偵察任務で送られた装置かもしれない」と語った。

 匿名でAFPの取材に応じた仏情報機関の元幹部も、無人偵察機が将来の攻撃目標の追跡、目標の公式な特定と、周辺の監視を行うために飛ばされた可能性があると説明。「単独または複数の無人機が、最も脆弱(ぜいじゃく)な船を偵察するために使用された可能性がある」、「これは非対称戦争で典型的な手法だ」と述べた。

 専門家らは、最初の無人機飛来の直後、攻撃の実行者が乗組員らに見つからないようタンカーの背後から接近し、密かに機雷を仕掛けた上で、姿を消したとの見解を示している。これが事実なら、乗組員らは攻撃が上空の「飛来物」によるものだと勘違いしたことになる。(c)AFP/Michel Moutot