【6月21日 AFP】「ハドソン川の奇跡」で知られる米航空USエアウェイズ(US Airways)元機長チェズレイ・サレンバーガー(Chesley Sullenberger)氏ら米パイロットは19日、2度の墜落事故を起こした米航空機大手ボーイング(Boeing)の737MAX型機について下院航空宇宙小委員会の公聴会で証言し、同型機の運航を再開する前に訓練を強化するよう求めた。

 サレンバーガー氏は2009年にニューヨークのハドソン川(Hudson River)にUSエアウェイズ機を不時着水させ同国のヒーローとなった。同氏は19日の公聴会で、パイロットは737MAX型機のソフトウエアに事故後加えられた修正を学ぶだけで十分と断言するボーイングの姿勢に反発した。

 サレンバーガー氏は「パイロットは突然起こる緊急事態に迅速かつ効果的に対応できるよう筋肉の働きを脳に記憶させなければならない」と明言。「(緊急事態について)iPad(アイパッド)で読むのは十分とは程遠い。パイロットは体で直接に経験しなければならない」と述べた。

 2018年のインドネシアのライオン航空(Lion Air)と今年3月のエチオピア航空(Ethiopian Airlines)の墜落事故では計346人が死亡した。

 旅客機パイロット協会(APA)会長兼アメリカン航空(American Airlines)機長のダニエル・キャリー(Daniel Carey)氏は公聴会で、2度の墜落事故の一因とされているフライトシステムの修正については心強い動きとしながらも、同型機の開発プロセスを厳しく批判。ボーイングが検討している訓練は不十分になるとの懸念を示した。(c)AFP