【6月18日 AFP】2週間前にドイツで移民擁護派の地方政治家が殺害され、全土に衝撃を与えた事件について、当局は極右思想が背景にあるとみている。

 独中部ヘッセン(Hessen)州カッセル(Kassel)県のワルター・リュブケ(Walter Luebcke)県知事(65)が2日未明、県内の自宅前で至近距離から頭を銃で撃たれて死亡しているのが見つかった事件で、当局は「政治的暗殺」だとの見解を明らかにした。

 連邦検察は、勾留中の45歳の男がリュブケ氏を殺害したとみている。男の氏名は、シュテファン・E(Stephan E)とのみ発表されている。

 検察は「容疑者の経歴や、公に発してきた主張や見解」を挙げて、「右翼過激派の背景があるとするに足る証拠がこの事件にはある」と発表した。

 捜査当局は、共犯者がいる可能性も視野に入れているが、現時点では「容疑者がテロリスト・ネットワークの一員だという証拠はない」としている。

 リュブケ氏はアンゲラ・メルケル(Angela Merkel)首相率いるキリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)に所属する政治家で、移民の擁護を公言していた。

 ベルリンで労使団体の協議に出席したメルケル首相は、明らかになってきた事件の動機について「気が滅入る」と表現。「早く全容が明らかになるように願う」と語った。(c)AFP/Frank ZELLER