■そもそもトランプ氏は何をしたいのか?

 タンカー攻撃にどう対応するのかという問いだけでなく、さらに大きな謎も残っている。イランに圧力を掛ける米国の戦略には、そもそもどんな具体的な目的があるのだろうか?

 トランプ氏の下で米国は昨年、イランと主要6か国との間で結ばれた2015年の核合意から離脱した。

 トランプ氏は、オバマ政権時代に交渉が進められたイラン核合意を激しく批判し、イランに核開発に関するはるかに厳しい制約を無理やりにでも受け入れさせ、中東を「不安定化させる」活動を完全にやめさせたいとの考えを示している。

 トランプ政権はここ数週間、イランに対する経済的・外交的・軍事的圧力を強めた一方、トランプ氏自身は繰り返しイラン指導部に直接対話を呼び掛けてきた。

 しかし、イランの最高指導者アリ・ハメネイ(Ali Khamenei)師が対話をきっぱりと拒否したことで、トランプ氏はどう対処すべきか迷っているようだ。

 ミラー氏は、「真の問題は、トランプ政権の戦略には最終的にどのような状況にしたいのかという点がないことだ」と述べ、トランプ政権のアプローチには明確さが恐ろしく欠けていると指摘した。「イランの体制崩壊や体制変革は現時点では非現実的だ」

 さらにミラー氏は、「(対イラン)制裁の目的は何か?イラン経済の破壊か? それともイランを交渉に引きずり出し、オバマ氏が実現したよりも良い結果を出そうとする懸命な努力なのか?」と述べ、「トランプ政権に、真剣な交渉でイラン側が要求してくるはずの譲歩に応じる準備ができているとは思えない」 と語った。(c)AFP/Francesco FONTEMAGGI