【6月15日 AFP】(更新)香港の行政トップである林鄭月娥(キャリー・ラム、Carrie Lam)行政長官は15日、香港で身柄を拘束された容疑者を中国本土に引き渡すことを可能とする「逃亡犯条例」改正を延期すると記者会見で発表した。

 同長官は報道陣の前で、「(香港)政府は、法改正を延期する決定を下した」と明言。1週間にわたって前例のない抗議活動に直面した香港政府は大きな譲歩を示した。

 これに先立ち、地元メディアの英字紙サウスチャイナ・モーニング・ポスト(SCMP)とナウテレビ(Now TV)、TVBテレビ、公共放送RTHKは、複数の政府情報筋の話として、改正案の成立を先送りにし、立法会(議会)での再審議を延期すると報じていた。

 SCMPによると、林鄭長官は14日夜に顧問らと緊急会合を開いた一方、中国当局者も香港に隣接する深セン(Shenzhen)で行き詰まりとなった事態の打開策を検討していたという。

 その一方、中国政府は15日、この決定への支持を表明。

 中国外務省の耿爽(Geng Shuang)報道官は、同長官の決定について、地域社会における複数の意見に広く耳を傾け、できるだけ早く社会に平静さを取り戻す試みだと評価。「われわれはこの決定を支持、尊重し、理解する」と述べた。

 林鄭長官はこれまで、改正案撤回の検討を拒否。しかし14日には、方針を転換し市民の怒りを静めるよう求める、強硬派の親中派議員を含む自身の陣営内部からの要求に直面していた。

 香港では12日、警察が数万人規模のデモ隊をゴム弾や催涙ガスで鎮圧。1997年の中国への香港返還後最悪の政治的混乱となっていた。(c)AFP